YAJ

みかんの丘のYAJのネタバレレビュー・内容・結末

みかんの丘(2013年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

【За жизнь!】

 今、観るべき素晴らしい作品でした。
 知人が観たと紹介していて、オフィシャルサイトの予告編を見て「これは!」とピンと来た。間違いなかった。

 グルジア(ジョージア)の内戦時(アブハジア紛争)、戦火の迫る村のみかん畑で働くエストニア人が敵同士の傷ついた2人の兵士(チェチェン人とグルジア人)をひとつ屋根の下で看病する。そこでの数日(数週間?)のお話。

 小さな村の最少人数で描かれるドラマが、世界中の紛争地区の縮図、人と人との関係性の縮図、人間の真実の、過去と未来の、ありとあらゆる希望と祈りの縮図となっている濃厚な87分!

 オススメです! За жизнь!

 岩波ホールは去年、同様にジョージア映画『放浪の画家ピロスマニ』を鑑賞した箱。どうしてジョージア作品が多いのだろうと、売店のお姉さんに尋ねたら
「うちの社員で、ピロスマニの本を描いてる者がグルジア映画のファンで…」と。
 あぁ、あの絵本を描いた!?と、思ったら、そのご本人はらだたけひでさんがホールにいらしてて(先ほどまでホールの壁に貼られた現地の地図を見ながら鑑賞後の奥様方に舞台の位置関係を説明されていた)、しばしジョージア映画に対する熱い思いを語っていただいた。

 ソ連崩壊から、このアブハジア紛争などで混乱した1990年代、彼の地の映画産業は停滞したそうだが、今、また復活を遂げてきているようだ。去年観た『独裁者と小さな孫』もグルジアが絡んでいたなあ。確かに、いい作品が多そうだ。
 今後のグルジア(ジョージア)映画、期待していいんじゃないでしょうか!

グルジアを旅した皆さん、ロシア関係のみなさん、必見!(と言っていいと思います) もちろん他のどなたも!佳作です。
YAJ

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