砂

みかんの丘の砂のレビュー・感想・評価

みかんの丘(2013年製作の映画)
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先行して観た「とうろうこしの島」とセットで上映されていた本作は、あちらと同じくアブハジア紛争と言われる1992年頃の戦争において、戦線で双方に与するでなく生活を送る人がとる行為にスポットがあてられている点で共通している。

正直なところ勉強が足りないために深く対立する複雑な国の構図が読みとけなかったのではあるが、戦争における不条理を描いたドラマとして秀逸。
語りも過剰でなく、それでいて大ケガを負った憎しみ合う敵同士を同じく家で介抱し、次第に敬意を示し始めるも…という筋書きの機微も簡潔ながら丁寧に描かれている。

ジョージア映画は食事のシーンが多い、というのをきいたが本作や「とうろうこしの島」でもその辺は踏襲しており、本作においては対話の場において非常に重要となっている。導入も食事を起点に物語が始まるが、そのときはそっけないものだった。与えるもの、が次第に与え合うもの、となったときに心のわだかまりも解消される。美食を堪能するばかりが食事のもつ魅力ではない、ということである。


私個人としては「とうろうこしの島」が本当に好きだったので比較するとあちらが優勢ではあるが、本作も素晴らしい出来だった。あまりジョージア映画はソフトがないのだが、今後も追っていきたい。
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