何気ない場面から余裕で三年もの時間が飛んじゃうのが可笑しい。グレタ・ガーウィグとヴァンサン・マケーニュの出演に心のなかでガッツポーズ。ＣＤのパッケージの上で白い粉をトントンするくだり、その人物と音楽というものの絶妙なきょり感がにじんでるというか、そこに、本作のなかでこそ輝きを放つであろうリアリティみたいなものを見た。ダフト・パンクは登場がさりげないいっぽうで覇気だけは『エド・ウッド』のオーソン・ウェルズくらいある。手紙を読む側と書いた側の二分割画面や、さいごの詩のテロップはいくらなんでも感傷的すぎるように思うけど、全体通してミア・ハンセン＝ラヴらしさの炸裂した心地いい音楽ムービーで満足ではあった。
