いい映画だ。この作品の良さを表現するのがとても難しい。いや、正直に言えば、脚本も演出も構成も台詞もべたべたで、キャラクターの背景なども説明不足で成長過程もいまいちの描写で、とりたてて尖った所はないのだけれども、観る側に伝えたい意志と情熱を感じさせるのだ。書道のような言葉を扱いながらも、言葉以外の表現を含めて発信するわだかまりが共通しているのかもしれない。生きてゆく上で、人と接したり、言葉を交わしたりしても、思いが伝わらない齟齬の感覚はだれしも経験するし、一筋縄ではいかないけれども、進んで成長してゆく姿に感動し希望を見るのも、だれもが心から喜ぶのだ。月並みでありながら、改めていろいろと確認させられた作品であった。
