さむ

14の夜のさむのレビュー・感想・評価

14の夜(2016年製作の映画)
5.0
東京国際映画祭にて。(28.10.30)
不惑を迎えた人にもそうでない人にもぜひ観てほしい。インターネットも携帯もなく、ヤンキーはヤンキーらしく分かりやすい格好をしていたあのビーバップな80年代が瞬時に自分の脳内の記憶映像と重なって再生される。

顧問がほとんど指導に来ない部活。寝転んで漫画と成人雑誌を読むための畳と化した柔道場。開け放たれた戸口から見えるのは、輝いて見える他の部活の生徒たち。
かっこいい大人は誰一人として出てこない。そもそもかっこいいとは何なのか。そんなものは初めから存在しないのかもしれない。
その中で、宇野祥平さんの演じた大人が好きだった。

タカシとミツル、タカシとメグミ。このエピソードがとにかく泣ける。
こういう幼い日の思い出は、普段はしっかりと封印されていて記憶のカケラにもなっていないのに。ある日突然、缶切りで古い缶詰を開けるようにして、よみがえる。幼馴染との歴史は、自分の生きてきた歴史でもある。

この映画。台詞がとにかくいい。おすすめです。
さむ

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