JAIHOにて配信最終日滑り込み鑑賞。
ちなみに、日本語字幕付きの公開はこれが初めてとかで、見られてラッキーでした。
ギンズバーグの『吠える その他の詩』が猥褻かどうかという裁判とギンズバーグのインタビューを劇映画として再現した作品で、間に彼の著書の挿絵を再構成したアニメーションが入ってくる。
この構成が非常に有効で、現代詩やギンズバーグに興味のある人は必見と言ってもいいぐらいの読書ガイドになっている映画です。
リズミカルで意味が頭に入ってきやすいので、気が向くと彼の詩は時々読んだりするのですが、彼がホモセクシュアルであり、詩の一部は性行為そのものの隠喩であったりすることはあまり気づいていませんでした。
ですので、率直にホモセクシュアルを表現するということがあらゆる表現の率直さをもたらすのだ、というインタビューの言葉はとても説得力がありました。
1950年代という、ゲイは病気で精神病院で電気ショックで治療されてしまう時代に、裁判ではそれを切実に正直に表現する自由を認められ保障される、というアメリカという国のかつての奥の深さを知ることができる映画でもありました。
アニメーションで再現される挿絵も70年代に別の国の現代詩人の詩集の表紙にパクられているのを見たことがあります。
裁判の再現の構成も絶妙で、見応えがありました。
監督は『ハーヴェイ・ミルク』や『セルロイド・クローゼット』のロブ・エブスタインとジェフリー・フリードマン。撮影監督はなんとエド・ラックマン。製作総指揮がガス・ヴァン・サントで、ドキュメンタリー的な再現映画としては非常に見やすく、ありがたかったです。
これは、久々にDVD欲しいと思った映画。
(アレン・ギンズバーグ 2021/12/2記)