初期作「アルファベット」は完全トラウマ級ホラーのような作品だが、こちらの作品は、デヴィッド・リンチのカルト映画監督のはじまりを示唆する作品。
白塗りの少年の悪夢、それは夢か現実か？
前衛的かつ、ビジュアルとテーマから寺山修司の世界を彷彿とさせる。
そしてこのヒントでお分かりのとおり万人受けは決してしない。

受精から始まり、男と女から子供が生まれ、家族が作られ、その少年は虐待を受ける。
セリフもないなか毒親に痛めつけられる可愛らしい少年の姿はループして、やがて彼の前にあられるグランドマザー。
少年に精一杯の愛を与えてくれるグランドマザーは、幻なのか、幽霊なのか、それとも実在するのかはよくわからないけれど、穏やかに見えた祖母と少年のひとときの穏やかな時間の崩壊とともに、また胸糞悪い毒親の存在が画面を覆う。
悪夢よ、お願いだから早く終わってくれ。

ポイント、ポイントにリンチの作り出した造形のアニメーションが挿入され、アーチストのデヴィッド・リンチと、映画監督デヴィッド・リンチのコラボレーション作品ともいえる。

グランマだけがボクの見方😢
こちらも面白いショートでした。

そういえばのび太のおばあちゃん、観に行ったら泣くだろなぁ😭

2020 11 youtube

マルホランドドライブやイレイザーヘッドなどで知られるデヴィッドリンチの短編映画。虐待を受けている少年が育てた木からババアが生まれる話。

ベルイマンの狼の時刻ばりに真っ白で狂気的な世界観から始まり、黒沢清のカリスマやハロルドとモードを通過しながら結局はイレイザーヘッドに落ち着くような、リンチらしいイカれた作品でした。独特なシュルレアリスムを強調していた撮影、照明、音響が良かったし、ストップモーションとかアニメーションの使い方も如何にもリンチな感じで面白かったです。ストーリーは影響を受けまくったベルイマン的なやばい世界観っぽさがありつつも、ストレスや不安から得体の知れないものが生まれるという後のイレイザーヘッドを彷彿とさせる展開が際立っていたと思います。ブルーベルベットとかマルホランドドライブみたいなオズの魔法使い、サンセット大通り系統のリンチが好きな人が今作をハマるかどうかは分かりませんが、一方でシュルレアリスムだったり、イレイザーヘッド、ベルイマンなどが好きな人にとっては今作は最高の一本になるのではないでしょうか。ただ個人的には中間くらいの好みでした。