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呼吸 友情と破壊のMTMYのレビュー・感想・評価

呼吸 友情と破壊(2014年製作の映画)
5.0
We are young.
自分の、あの学生時代を、良い意味で、蒸し返された。そんな複雑な気持ちがして、泣いた。

眼前で過ぎてゆく2人の女子高生の物語に、ただただ胸を掴まれ、彼女らの<友情>に心踊らされ、唸らされてゆくうちに、
いつの間にか私の脳裏には自分がいた。

急接近した友情に酔いしれ、「私たちはずっと友達だよね」なんて感じでいつも一緒。彼女といれば楽しい。彼女は私と1番仲が良い。間違いないから。

でも、ひょんなことでそこに壁を感じる瞬間をもつ。完全な壁じゃなくて、「あれ?」って首を傾げる程度のガラス壁。
すぐそばにいるのに、まるで触れられないような、離れてしまうような感覚。
そんなはずはない、と思うのと裏腹に厚くなってゆく、そんな壁が立ち塞がる。

彼女の声がガラスに阻まれ聞こえなくなる。
自分は必要じゃないんだと思う。だからわざと強引に割ってみようとする。
でも、割れた、と思っても表面だけ。

そしていつしか、その壁に嫌悪を感じるようになる。それが憎しみに変わるのに時間はかからない。
「こんなはずじゃなかったのに」


友情は不確かで、必ずしも絶対的なものじゃない。いつか壊れたり、自然消滅したりするものもある。でも、本当に<破壊>させたら終わりなんだ。実を言えば、私も<破壊>まで気を追い詰めた事があった。本当の意味で嫌いになれたら、楽なのに。

もしかしたら<破壊>という結末は、不安定な<友情>を信じれば信じるほど表裏一体のように付き纏い始めるのかもしれない。

彼女たちの家庭環境や学校生活は、万人に共通するものじゃない。でも、彼女たちが感じたり、抱えたりすることは痛いほど分かる。
だから、最後に見つめられた時、私は私の脳裏の自分を見られてる気がした。
「…どうしたらいい?」
そんな瞳が、エンドロールで私を、不覚にも泣かせました。

日本で公式に公開すればいいのに。
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