ジョジー

呼吸 友情と破壊のジョジーのレビュー・感想・評価

呼吸 友情と破壊(2014年製作の映画)
4.2
先日メラニー・ロランが監督を務めた『ガルヴェストン』が良かったので、彼女の過去作である本作も鑑賞。
きらきらした青春映画かと思いきや、その輝きの中に潜む危うくて脆い何かが描かれています。それは友情という名の嫉妬か、または愛情という名の憎悪なのか?
両親の家庭不和はあるものの、平凡ながら楽しい高校生活を過ごしていたシャルリ。美人で明るい転校生サラはシャルリに近づき、ふたりは側から見ても親友と呼べるほどの仲になっていきます。
ただ、何でも話せる関係を築くのには、あまりに早く心を許し過ぎたのではと思うしかなく。シャルリにとってサラは自分にはない魅力を持った女の子だったというのは分かるんだけど…。
近過ぎると良いところもだけど、悪いところも見えてきてしまうもの。そして、自分にとっては他愛もない会話のはずが、相手を傷つけてしまうこともある。
授業中に、ある植物について語られるシーンがあるのですが、その植物の持つ特性が彼女たちの未来を暗示しているようで、その時点で不穏な空気を感じました。
家族との関わりもふたりの少女にとっては大きかったのではないかな。お互いに踏み込んではいけなかったこともあるし。
突き放すサラ、為すがままのシャルリ。シャルリには心配してくれる昔からの友達がいるにもかかわらず、衝撃の結末へと向かってしまう…
ラスト近くの長回しのシーンはふたりの少女から目が離せくなります。美しい映像と反比例するように破壊に向かうストーリー。言葉にできない息苦しさをもたらすその対比がまた素晴らしく、とても良かった。

メラニー・ロランの監督としての資質は以前からあったんですね。少女たちの繊細な心の動きが手に取るように伝わってきました。
シャルリを演じたジョセフィーヌ・ジャピとサラを演じたルー・ドゥ・ラルージュの表情や仕草は真に迫っていて良かったとしか言えないです。
ルー・ドゥ・ラルージュはお初ではないと思ったら『夜明けの祈り』のマチルドを演じてたんですね。これからの彼女たち、そして監督としてのメラニー・ロランの活躍が楽しみです。
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