Hopelessness

呼吸 友情と破壊のHopelessnessのネタバレレビュー・内容・結末

呼吸 友情と破壊(2014年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

メラニー・ロランの監督作品で、対照的な(それでいて実は近しい)二人の女学生の友情とその破壊を描いた作品である。

主人公のシャルリ(ジョゼフィーヌ・ジャピ)は喘息を持った、どちらかといえば内気で地味な少女である。
そしてもう一人の主人公であるサラ(ルー・ド・ラージュ)は、対照的に派手で自信に満ちた少女であり、最序盤にシャルリのクラスに転校してくる。

このような二人であるが、物語序盤で急速に接近する。しかしこの友情は長くは続かない。やがて亀裂が入り、本劇の最後には破滅的な結果がもたらされる。
ここからは友情の変遷を精神病を軸にして読解してみたい。

内気な少女シャルリには大きく二点、心に傷が存在している。一つは不仲な両親の存在であり、もう一つは過去にセックスで失敗して今も処女であること。特に後者はシャルリにとってのトラウマとして友情を切り裂くトリガーとして作用する。
一方のサラは、表面上自信に満ちたポーズをとっているが、シャルリ以上に家庭内の問題を抱えており、これがサラの心に消えない痕跡として作用している。
ここから対照的に見えた二人が、実のところ共通項を持っていたことがわかる。次に、二人の対照的な姿がいかに表出したのかに話を移そう。
まずシャルリであるが、前述したトラウマをきっかけに内向的なパラノイアを発症し、サラに対して無意識的な同性愛的感情を抱き、彼女に同一化しようとする。この意味でシャルリーは対象愛の段階にある。
対してサラの性愛は、自己の外部を対象とせずナルシシズムの段階にとどまっているといえる。サラの典型的な症状としてあらわれる、傲慢で暴力的な態度、そして自己をよく見せるための虚言などからも明らかである。

この二人の友情は、サラがシャルリーに酔ってキスをする場面を頂点に、すれ違いが大きくなっていく。前述のトラウマを互いに知ってしまうことによって、二人の間の溝は決定的なものになる。
その後は、サラによるシャルリーへのヘビーないじめのシーンが続くが、シャルリーはそれでもサラに自分の元へと戻ってほしいと言い、彼女への強い思いがうかがえる。

しかしこの強い思いは、ラストシーンにおいてその強さはそのままに反転し破滅を迎え、残るのはシャルリーの浅い呼吸のみとなる。
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