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ヒポクラテスのIMAOのレビュー・感想・評価

ヒポクラテス(2014年製作の映画)
4.0
カンヌ映画祭に合わせて、My French Film Festivalの特別版が今オンライン上映で開催されている。過去作だがつぶよりの作品が観れる。その中の一本。

インターンのバンジャマンはある病院で働き始める。設備や人員不足、そして倫理の問題などに苦しみながら彼が医者として成長していく物語。
プロットだけ書くと割とありがちな話だが、深刻になりそうな話と医者の現実をテンポもよく見せて飽きさせない。ひとりの人間としての医者がきちんと描けていて、そこはとても好感が持てる。
主演は『アマンダと僕』のヴァンサン・ラコスト。院長で父親の医師には『グレート デイズ! -夢に挑んだ父と子-』のジャック・ガンブラン。その他に『預言者』のレダ・カテブや、マリアンヌ・ドニクールなどフランスではおなじみの芸達者な役者が出ていて楽しい。

そういえば昔お医者さんにインタビューしたことがある。彼にインタビューしていた時、患者に死なれてしまった時の話になったのだが「医者になりたての頃は自分が担当した患者が亡くなると100人くらいまでは、泣いていました。でもそれを超えると何も感じなくなるんです」と話していた。でもその話をしていて、一番最初に担当していた子供の患者が亡くなった話をしていた時、その医者は突然泣き出してしまった。そしてインタビューを中止させて隣の部屋で号泣していた。「何も感じなくなる」というのは、どこかで心を閉ざさないと仕事にならないからだろう。そうした医師の現実と苦しさを垣間見た感じがした。この映画を観ていて、このことをなんとなく思い出していました。
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