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人魚に会える日。のkiritoのレビュー・感想・評価

人魚に会える日。(2015年製作の映画)
3.5
【ジュゴン】

弱冠19歳という仲村監督が、14歳の頃からこの脚本を練っていたということに驚くとともに、本土ではなく「沖縄」に住み「米軍基地問題」を直接目の当たりにしているからこその作品だと感じた。

ジュゴンに狂信した青年は自室に引きこもり、担任の先生も売れない写真家と雑誌記者と共にジュゴン探しの旅にでる。しかし何者かによって車に落書きをされ、さらに見つけてはいけない地域の風習の記載されたファイルを発見。そこには生贄の歴史が刻まれていた・・・

人間をジュゴンに例え、米軍基地の生贄になっている沖縄を風刺した問題作。
生贄の風習を交えながら、不気味な絵を使い爽やかなジャケット写真とは異なりかなりホラーテイストにしている点も新しい。

粗削りで素朴なカットが多い一方で、暗闇の中に立ち青年を照らす街灯を木々の陰で隠すショットなど時折唸るシーンも散見され実力を感じると共に今後の監督作にも期待が高まる。


2020.5.8
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