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スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明けのpikaのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

『最後のジェダイ』で絶望のどん底に落とされたのはこの『スカイウォーカーの夜明け』で感動を倍増するためだったんだ。2年間の絶望の果てにようやくスターウォーズ熱を取り戻せた。ありがとうJJ。よくぞここまでやってくれた!
全く期待していなかったのでいつでもいいとすら思っていたのに期せずして初日の初回を鑑賞。
パブロフの犬の如くファンファーレで泣きそうになりつつもオープニングロールの内容のなさに愕然とし前作の怒りも相まって『最後のジェダイ』はこのオープニングロールに当てはめてりゃ良かったんじゃね?とか若干イライラしながら序盤の性急とも言える展開にぶつくさ文句を吐き見進めていたらいつの間にやら夢中になり多々あるツッコミどころも肯定し仕舞いには5回ほど涙を流し大満足、大感動のうちにエンドロールのテーマ曲リミックスに酔いしれた。
最高じゃないか。『ファントムメナス』からファンになり心の英雄としてアナキンを置き続けてきた1ファンとしてこのエンディングは全肯定したい。世評が悪かろうが断固支持したい。
ただ789はそもそも二次創作、スピンオフであり、本物は3が公開されたときにもう終わっていると思っている上での評価です。

少年漫画みたいな冒険とアイテム入手は子供向け映画として見るとアリ。全体的に小難しくなく目で見てすぐわかるよう作られているのはバカっぽさに目をつぶれば子供に見せやすい点で許容範囲。
剣からニョキッと出てくる下りはちょっとダサすぎて笑うし、レイとカイロレンの船の引っ張り合いは苦笑するし(シディアス卿の電気ビリビリって血の問題なん。シスだからじゃないの?)チューイが攫われるのもC3POの記憶消去も何度もやってきたからあっそ、って感じしかしないし無理やりの新ドロイド、女性ばかりの新キャラ目配せ?も辟易気味でカイロレンのストーカーぷりも凄すぎてデススターの廃墟のとこに出てきたのは可笑しすぎて若干引いたし、何より3人の男がレイを取り合う構図(途中ポーは他の女性に色目使ってたがそれも若干わざとらしい)がなんか、オリジナルのルークとハンソロみたいだけどうーむ、と思うし色々気になるところは多かった。いちいちファンに対してドヤるキメ演出やドラマ構成が難になるところはあるがこのフィナーレで言うとむしろそれこそが良いところでもあるから要はその点を肯定するか否定するかだろう。
そもそも『新たなる希望』からしてツッコミどころが多いし個人的に他作(『最後のジェダイ』はカウントしない)と比較してイマイチ好きじゃなかったりして『スターウォーズ』ってそういう映画なんだよなと改めて気付かされたし全然オッケーっすよ。

『フォースの覚醒』も『スカイウォーカーの夜明け』もドラマや演出にファンへの目配せが多く、スターウォーズであってどこか偽物というかこれじゃない感がつきまとう。ルーカスという創造主がいなくなったあとはもうこうするしか他にやりようがないんだろう。創造主が作るものはどんなに新しいもの、いくらファンが『こんなのスターウォーズじゃない』と悲痛な叫びをあげるものでもオリジナルになるが創造主の手を離れてしまえばもう新しいものは作れない。今までの要素を引き継いで繰り返したり模倣するかして則っていくしかない。新しいものを作りたいのならば全く別の新たな宇宙叙事的映画を作ればいい。
スターウォーズが世界一の売上&観客至上主義のディズニーに託されたこと、ルーカスの手を離れるならディズニー以外に有り得なかったことが物語っている。ディズニーの作る映画は基本的に第一にファン、観客にウケる映画を作っている。その点がルーカスのスターウォーズとは決定的に違う。ルーカスは史上最大規模の自主制作映画であり、誰も口を出せない聖域でルーカスの好きなように作れた映画なのだから。俺はこれを見せたい、これを撮りたい!という作家性が溢れんばかりに滲み出たことこそがスターウォーズを作り上げていたのであり、もうその創造主が身を引いたとなれば彼のやってきた道を踏み外さず後を追うしかないのでディズニーのやり方がベストなのだろう。
ルーカスの脚本はボツになったとはいえ最初から作るなら9作目までと言っていたように大規模な叙事的映画を作り始め6作で終えた、その先を見事に作り上げたなとは思う。
星壊せるバカでかい武器作って闇の軍団出してと何回繰り返してんねん、結局シディアス卿かい、という飽きるほどのループの果にとうとうシスを滅ぼせたのは二人で一つになったから、男女のジェダイが自らの血に抗い、尊敬する騎士の意思を継いだから。アナキン・スカイウォーカーが誕生した果て、フォースにバランスをもたらせたのは間違いなくスカイウォーカーだった、なんて最高じゃないか。アナキンが成し遂げられなかったことを二人で成した。不可能はないというフォースの力で生命を取り戻した。めちゃめちゃ良いじゃないか。でもルーカスの道があってこそだ。ルーカスの撒いた種をようく見定めて熟考しまるでルーカスが初めから考えていたかのようなまとまりを見せた。

レイがパルパティーンの孫だってことやレイとベンの互いに対する情(愛なのか友なのか)がハイライト。ちょっと溜めが凄すぎてもったいぶってるドヤ感は半端なかったが。あんなに『よかったねぇ』と心底思えるキスシーンは他にないと思うくらい良かった。
ラストシーンもズルさはあれど素直に感動した。他にも色々含まされている伏線はバレバレ過ぎているキライもあるけどだからこそガツンと映えるってのはあった。
何よりルーカスの壮大(?)な絵図をそのまま引き継いで創造主不在でここまで綺麗に終わらせたところが凄い。個人的にはプリクエルが至高のファンなので思うところは色々あるけど最初っから爪弾きにされているシリーズが好きなのでこういうのもアリだなと飲み込めたのかも。
総合的には4点くらいなんだけどあまりにもベン・ソロが良すぎて4.5にします。アダム・ドライバーめちゃくちゃ良かった。お疲れ様でした。

レイが孫だという設定は年齢的にひ孫とかのほうが良かったんじゃないか。『ファントムメナス』でまだアナキンが少年だった頃から議員で4,50くらいいってる年齢だったし無理がないか?ルークとレイアが生まれた『シスの復讐』のときに妖怪みたいな顔面になっていたし完全な暗黒卿になったからそれ以前の子供ってことだよね。謎。

バトルは789どれもいまいちだった。期待させておきながら普通レベルでガッカリがデカい。
バトルシーンは技術も上がってイメージ通り作りまくれたプリクエルが史上最高じゃないでしょうか。ドロイドを含めたキャラ造形もルーカスのセンスに全く匹敵していない。

123作って散々に叩かれまくったあとじゃあ世界最大級の映画会社にってディズニーに売り飛ばしてこんなに賛否両論でまた轟々となっている現状を『ほらね、誰が作ってもこうなるんだよ』とルーカスは若干ほくそ笑んでいるのではないだろうか笑
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