MikiMickle

ぼくとアールと彼女のさよならのMikiMickleのレビュー・感想・評価

4.1
原題『me and earl and the dying girl』
サンダンス映画祭でグランプリと観客賞を受賞。

高校生最後の一年。
グレッグは、学校を世界にみたて、どのグループにも属さず、敵を作らず、目立たぬように過ごしている映画オタク。
幼稚園からの幼馴染みのアールを「仕事仲間」と呼び、有名映画のパロディ映画を作る日々。

あるとき、母から、同級生のレイチェルが白血病になり、彼女を慰めてくるようにと言われる。
友達でもないレイチェルと仲良くなんか出来ないと断るグレッグだったが、渋々彼女を訪ねる事に。
レイチェルも、突然現れたグレッグを最初は拒絶するものの、なんだかんだと仲良くなっていき…

彼らの奇妙な友情がはじまる…
そして、グレッグは、偽善的な同級生に頼まれて、レイチェルのために無理矢理映画を撮らされる事になるのだが…

という話。

始めに言っておきます。これは、ただのベタなお涙ちょうだいの感動ものではないです。(私は感動押しつけ系が苦手なもので…)
素晴らしい青春映画です。
また、グレッグ本人が言うように、「恋愛映画ではない」のです。

まず、とにかく、世界観が可愛らしくユーモアに溢れています♪
二人の作る映画は、実写やストップモーションで作られており、高校生らしい可愛らしい下品さもあるような、なんとも微笑ましくてならない作品です♪映画好きとしては、ジャケや題名のパロディだけでクスクスとしてしまうし、彼らの作った映画を全部見てみたい‼と思ってしまうのです♪最高っ♪

また、ピュアなグレッグの妄想も面白く、セクシーな同級生の女子に肩とか触られる度に出てくる妄想も、非常にリアルであり、それが表される表現方法もまた手作り感満載のストップモーションで出来ており、愉快なのです。

とにかく、この映画で素晴らしい事のひとつは、“手作り感”ということなんです‼
“もの”を作るという素晴らしさをひしひしと感じます‼‼

登場人物もみんながみんな、個性的であり、魅力に溢れています。

幼少期からヴェルナー・ヘルツォークの『アギーレ 神の怒り』にぞっこんだったグレッグ。 会話はユーモアにとんでおり、私としてはとっても魅力的にうつります♪ そのユーモアには、周りを気にする十代特有のものもまた感じるのです。自己表現と羞恥心と、様々な感情もまた…

グレッグから「地味なユダヤ人女子グループ」と位置付けられていたレイチェルは、ほんとにキュートで、可愛くて… センスも最高‼ ネタバレになるから言えないけど、もう、ほんと、なんて素敵な子なんだと…

クールなアールも好きです‼ この3人の微妙な距離感と関係性もとても良いのです。

脇役も、面白いです。社会学者のグレッグの父。世界の珍味好き。日本でお馴染みのあの食べ物とかを洋画でみたのは初めて(笑)グレッグのランチの紙袋に書いてある変なメニューは、お父さんが書いてるのかな…(笑) 素敵な人です。
他にも、タトゥーだらけの理解のある教師や、レイチェルの病気により(?)アル中になってる彼女の母はやけにセクシーだったり。
一癖も二癖もある同級生も、アメリカのハイスクールのヒエラルキーの底辺を感じて興味深いです。皆、かなり個性的だけれど、それが全然くどくなく、サラッと登場してきます♪

ナレーションは、グレッグ自身が観客に対して、第4の壁を越えて語ります。ここにもティーンエイジャー故の自信のなさやもどかしさなどがでています。そして、成長というもの……

ラストで号泣しました。ボロッボロです。
グレッグの作った映画。そこに込められたものは… グレッグとレイチェルの出会いの意味…… 物事の終わりは、終わりではない……そう感じました。
MikiMickle

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