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スロウ・ウエストのHKのレビュー・感想・評価

スロウ・ウエスト(2015年製作の映画)
3.7
同じくA24配給の西部劇はビル・プルマン主演の『ウィルド・ウエスト/復讐のバラード』も異色作でしたが、これはまた輪をかけて異色の西部劇。
西部劇なのにイギリス・ニュージーランド合作。
主役の1人コディ・スミット=マクフィーはオーストラリア出身。
製作総指揮を兼ねるもう一人の主役マイケル・ファスベンダーの父はドイツ人で母はアイルランド人。

16歳のジェイ(マクフィー)は好きな女性を負って単身スコットランドからアメリカの西部に渡ってきましたが、行き掛り上、賞金稼ぎのサイラス(ファスベンダー)を用心棒として雇うことになります。

スコットランドとニュージーランドで撮影されており、乾燥した赤土の西部のイメージはなく、むしろ緑に囲まれたみずみずしく鮮やかな映像がゆっくりと続きます。
もちろんイタリアのマカロニ・ウェスタンとも全く違い、むしろ先日観たフランスのアニメ作品『カラミティ』で描かれた西部の風景に少し似たカラーを感じました。

銃撃戦もありますが、“痛快西部劇”という言葉とはほど遠く、アメリカの西部劇のイメージとはかけ離れたアート寄りのテイストはかなり好き嫌いが割れそうです。
西部劇らしい予定調和は一切なく、先が全く読めず胸にチクリチクリと痛みをともなう展開はなかなか新鮮で、私はわりと好きな映画でした。

ジェイが好きな女性ローズの父親に見覚えがあると思ったら、TV『ゲーム・オブ・スローンズ』で私のお気に入りのキャラ“ハウンド”を演じた俳優ロリー・マッキャン。
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