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スロウ・ウエストのNTKのレビュー・感想・評価

スロウ・ウエスト(2015年製作の映画)
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突き抜けるような青空に広大な自然の画の美しさと人間ドラマ、西部劇のじっとりとした人間関係に人殺しの暴力性、それでいてどこかカラッとした殺伐さのどれも欠けることなく本当にバランスが丁度いい…こういう現代西部劇映画が続いて作られてほしいな…硬さと柔らかさのどちらの属性も持ち合わせていて、的確なツボを抑えてくる西部劇映画でした、すっごく好き!!!!良過ぎる🥰
アメリカの中で生き抜いてきたサイラスと、暴力と無縁な階級で生きてきたイギリス人のジェイのなり行きのコンビの旅の中、ジェイの純朴さがサイラスの心を動かすようなシーンがあるのもグッとくる…あとサイラスも決して根っからのアウトローって雰囲気じゃないのが良い、ちゃんと血の通った情のあるただの人間だったのが好き

劇中で一番ハッとしたシーンが、ワーナーとジェイの会話のシーンなんだけど、ワーナーの「種族が滅び 文化が失われ、使命も変えられる そして都合よく懐かしんで 神話化され美化される 芸術とーー 文学を装って」のセリフにドキッとさせられた。劇中、西部開拓時代というロマンの影でのアメリカ先住民族への虐殺と迫害の描写が入る描写はスルッと流し見して「やっぱり西部劇最高大好き〜ロマンだわ〜…」と西部劇ドラマのガワだけを楽しんでそれだけ、それでおしまい。な自分の鑑賞スタイルを見つめさせられるようなセリフだった
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