タイトル通り、淡々と進むロードムービー。
繰り返される、軽やかな音楽が助長する。
カット、カット、すべてが美しい。
わざとホコリっぽく撮るのが鉄板の西部劇を、コントラストがくっきりと、それこそ遠景の山の雪から麦の穂の一粒一粒まで鮮やかに映し出す。
特に最後の銃撃戦は、次々とほぼ全員死にながらも、時々挟まれる塩の瓶が砕けるカットなどのせいで、全体として美しい銃撃戦との印象が残る。
そしてそのままラストシーンにつなぎ、軽やかに切り上げる。
そのことが、かえって鮮やかなうたかたの夢を観たような気持ちにさせる。
サイラスのように。
多くを語らずとも、観る者の心に鮮やかに焼きつき、残像のように余韻を残す秀作。