塔の上のカバンツェル

スロウ・ウエストの塔の上のカバンツェルのレビュー・感想・評価

スロウ・ウエスト(2015年製作の映画)
3.8
"フロンティア"が消滅し、時代が移り変わろうとしている西部の混沌を旅する放牧的な西部劇。

1870年アメリカの西部の無法地帯を流離う2人と2頭。そして銃と死が、澄み切った青空の下、どこまでも続く荒野で折り重なる。宗教画チックすぎてまず好き

映画全体が記号で散りばめられていて、登場人物たちは行き場を失う移民たちであり、先住民の虐殺が続くアメリカ、フロンティアは失われ秩序の時代が訪れつつある西部、そして等しく訪れる死。
西部劇の時代が終わろうとしている過渡期のアメリカ史を描いた映画。

道中出会う歌う黒人3人は、元北軍の傷痍軍人であることが察せられるが、尽くした大義に対する仕打ちが垣間見え、賞金稼ぎの一味のアジア人は、当時の大陸横断鉄道に動員された中国人なのかな?とか、色々思うところが出てくる映画でもある