うめ

ドッペルゲンガー 凍てつく分身のうめのレビュー・感想・評価

3.3
 ドイツのサスペンス作品。ドイツの田舎町でバイクの修理工場を営むエリックはある日、自分にしか見えない男性ヘンリーに付きまとわれる。さらに自分のことを知っている様子の男性ガスパーが修理工場を訪れ、犯罪組織のボスであるカイテルを殺すように言ってくる。ヘンリーには「お前の生活はニセモノだ」と言われ、過去の自分や自分が何者か疑問を持ち始め、ついには悪夢と現実の区別がつかなくなっていくが、全てにはエリックのある過去が関わっていた…というストーリー。
 エリックの幸せな生活を描いている冒頭のシーンから既に不穏な空気が漂っており、その緊張感が終始保たれている。果たしてヘンリーという存在は何なのか、自分は何者なのかというエリックの苦しみがうまく表現されている。だが、終盤になるまで情報量少ないので、こちらが推理もできずほとんどわからないまま話が進んでしまっていたのは残念だった。結末や種明かしに至るまでの伏線がもう少し欲しかったところ。
 だが、エリックを「THE WAVE ウェイヴ」のユルゲン・フォーゲルが、ヘンリーを「ミュンヘン」や「ソウル・キッチン」のモーリッツ・ブライプトロイが演じており、どちらも今作で幅の広い演技をしている。彼らの共演あってこその作品とも言えるだろう。
 少し物足りなさが残るが、ストーリーはしっかりしているし、上映時間も短いので、あらすじに興味を持たれた方はどうぞ。
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