francois708

国際市場で逢いましょうのfrancois708のレビュー・感想・評価

国際市場で逢いましょう(2014年製作の映画)
4.0
5歳頃なのかな、父と生き別れになるとき、いいか、これからはお前が家長だぞ、と家族への責任を託される主人公、いくらなんでも荷が重すぎない? 日本の父子がこういう会話をするのは想像しにくいのではないか。
長男が未来の家長として優遇され、たとえば食事の内容も一人だけ品数が多かったりして、しかしその代わり責任も重大という儒教的価値観が、かの国ではいまだに健在で、その一方女性は常に受動的に守られる存在である様子が、この映画でも描かれていた。
父との約束を果たすためにドイツの炭坑にもぐったりベトナム戦争の裏方をしたり、そのたびに絶体絶命の危機から生還する主人公は頼もしくて男らしいけど、伝統的な価値観の追認に過ぎなくて陳腐でもある。
朝鮮戦争の避難民の描写が迫真的。国が真二つに分断された内戦がどれだけ深い傷を残したか、想像にあまりある。日本もソ連と米国で分割統治する案があったようだけど、もしそうなっていたら、と思うと恐ろしくなる。
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