月明りの夜

国際市場で逢いましょうの月明りの夜のネタバレレビュー・内容・結末

国際市場で逢いましょう(2014年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

朝鮮戦争時の混乱で家族と離れ離れになった少年ドクスが、別れ際父から託された家族を守る責任を背負い、家族のために生きていく姿が描かれた作品。
朝鮮戦争時の興南撤収作戦による混乱の中妹の手を放してしまった事で父とも離れ離れになってしまい、この、妹の手を放してしまった事への後悔は(あの状況では仕方がなかったと思う)、まだ少年だったドクスの心に深く突き刺さります。家族を守るために自らの夢を捨て、炭鉱やベトナム戦争での死の危険に直面しながらも、家族の前では常に明るく振る舞うドクスの姿に胸が締め付けられました。

釜山の「コップンの店」は、父との再会を約束した場所であり、再開発の圧力にも屈せず、ドクスは長年父の帰りを待ち続けました。年老いたドクスが自分の人生を振り返り『自分は父との約束を守った、捨てたもんじゃなかった、でも、ほんとうにつらかった』と今まで誰にも言わなかった本音を心の中のお父さんだけに伝えた時は涙がとまらなかったです。ドクスも年を取って父ももう会いにこられないだろうとコップンの店を手放すと言葉に出した時、どんなに思っても報われない願いもあるんだと、切なくなりました。