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殺人捜査のHKのレビュー・感想・評価

殺人捜査(1970年製作の映画)
3.0
先日観たモリコーネのドキュメンタリーで本作冒頭シーンの音楽差換え比較をやってたので、気になって観てみました。
昔から所有しているモリコーネ・ベストに入ってるので音楽だけは何度も聴いてます。
アカデミー外国語映画賞やカンヌのグランプリを獲ってる名作ですが観るのは初めて。

ローマ市警のやり手の殺人課課長(公安部長に昇進決定済)が愛人をSMプレイの果てに殺害してしまいます。
でもわざと自分の指紋や足跡を残したり、もっとしっかり捜査しろと部下を叱りつけたりどうも挙動が不可思議、警察当局の方も事件をちゃんと調べる気があるのか無いのか・・・

一警察官だけでなく組織全体の腐敗を描いたブラック・コメディと言えるんでしょうが、どうも話がまだるっこしいというか、わかりにくいというかスッキリしません。
興味深い点はあるものの、私には上記の各賞に値する価値を見いだせなかったというのが正直なところ。まあ珍しい事ではありませんが。

以前観たクロード・シャブロル監督の『一寸先は闇』も、冒頭で主人公がSMプレイ中に愛人を殺してしまうところから始まる映画でした。
あちらは組織の問題が出てこないなど本作とは違いますが、本人の葛藤や周りの反応はわかりやすく本作より面白く感じました。

主演の殺人を犯すエリート警官にはレオーネ作品でもお馴染みのジャン・マリア・ボロンテ。
冒頭すぐに殺され、その後は回想での登場となる愛人に懐かしのフロリンダ・ボルカン。
モリコーネの曲は同時期の『シシリアン』とも通じる雰囲気があり、真面目ともジョークともとれる独特な曲調はインパクト大で、笑うべきかどうかよくわからない妙なテイストの本作にはピッタリの印象でした。
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