ミシンそば

殺人捜査のミシンそばのレビュー・感想・評価

殺人捜査(1970年製作の映画)
3.9
「モリコーネ」を観て観たくなった映画。
アカデミー国際長編映画賞も獲っていた。

初っぱなから間抜けな印象を観る側に伝えてくるモリコーネの音楽から始まり、そこから怒涛の勢いで反吐が出る展開続き。
権力者としての特権階級意識やら全能感やらがものすごい。
権力者ムーヴをしまくり威圧的なヴォロンテ(夕陽のガンマンのインディオとあまりにも雰囲気が違う)が、話が進むにつれて憔悴し、萎んだように弱々しくなる様は、当然すぎて一周回って新しいまである。
主人公が「ドットーレ」と敬称でしか呼ばれずキャラ名すらないのも「らしい」。
オスカーも獲ってるし、リアタイではめちゃくちゃ新鮮だったことだろう。

自身の中にある罪はいつまでもは心の中に締まっておけないのは必定。
それでも、人は同時に「自分の居場所を守るためならどこまでも残虐に、盲目的にもなれてしまう」こともまた事実。
そういう当たり前を、「殺人捜査」は真っ正面から描ききっていた。
モリコーネの述懐では小物なイメージを失礼ながら抱いたエリオ・ペトリだが、底が全く見えないぜ。