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リトル・ボーイ 小さなボクと戦争のodyssのレビュー・感想・評価

3.0
【戦時期の少年の成長物語】

第二次世界大戦期、アメリカ西海岸の小さな町を舞台に、小柄で他の男の子たちから「リトル・ボーイ」と呼ばれてバカにされていた少年を中心にした映画。

日本との戦争が始まり、少年の兄が兵隊にとられるはずが、兵役不合格となり、代わりに父が出征。

大戦中の日系人は収容所に入れられていたが、たまたま町には収容所から出ることを許可された日系人の中年男が住んでいた。少年は最初は日系人を迫害する町の人々に加わっていたが、神父から諭されて、日系人と仲良くしようと努力する。

しかしやがて父が日本軍の捕虜になったとの知らせが。少年は父が無事に帰ってくることをひたすら願い、神父に相談するのだが・・・

全体として、アメリカ西海岸の田舎町が第二次大戦期にどんな雰囲気だったかを、小さな少年の目を通して、ユーモアを籠めて描いている。日系人差別や、主人公へのイジメなども出てくるが、極度に深刻にはならず、収まるべき所に収まる。

タイトルのリトル・ボーイは、主人公の少年を指すだけでなく、広島に投下された原爆が当時そう呼ばれたことからも来ている。この映画でも、広島に原爆が投下されたことを新聞で知った町の人々は、戦争はすぐ終わるだろうと大喜びしている。しかし少年は捕虜になった父が広島で灰になっている夢を見る。つまり、原爆投下を当時のアメリカ人がどう受けとったかを描くだけでなく、少年の夢を通して多少批判的というか、距離をおいて見ているわけだ。

しかし本作はあくまで戦争批判映画ではなく、家族や周囲の人々との交流を通して少年が成長していく物語である。

主役の少年を演じるジェイコブ・サルヴァーティが可愛いので、そういう映画が好きな人にはお薦め。
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