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ソウ6のnetfilmsのレビュー・感想・評価

ソウ6(2009年製作の映画)
3.5
 薄暗い廃墟の一室、シモーネ(タンデラ・ハワード)が先に目を覚ますと、程なくエディ(マーティ・モロー)も目覚める。悪徳金利業者である2人はジグソウの標的に選ばれ、どちらが多く肉を捧げるかという過酷なゲームを強いられ、片方は絶命し果てる。FBI捜査官・ピーター・ストラム(スコット・パターソン)の惨たらしい死体、現場に残された指紋などから彼がジグソウの後継者とみなされ、一連の事件はようやく終焉を迎えたかに思われた。しかし、そんな世間の風評に疑問を抱いたストラムの上司エリクソン(マーク・ロルストン)は独自に捜査を継続し、難を逃れていたホフマンは徐々に追いつめられていく。一方その頃、ジグソウの前妻・ジル(ベティ・ラッセル)は、夫の遺言と遺品の扱いに困惑していた。ジグソウとして使命を全うした夫、麻薬中毒から立ち直ったアマンダ・ヤング(ショウニー・スミス)の幻を思いながら、ついにジルも行動を決意する。一方、アンブレラ保険会社の副社長ウィリアム・イーストン(ピーター・アウターブリッジ)は妹のパメラ・ジェンキンス(サマンサ・レモール)と口裏合わせを画策する。彼は自らの計算式を盾に、時に人間の感情を捨てたような冷酷な判断をして、この世界でのし上がった。ある日の深夜、拳銃を構えた男のシルエットを確認したウィリアムは男の背後に回り込んだところを暴漢に襲われ、無理やり廃墟の一室に連れてこられた。

 大ヒットを続ける『SAW』シリーズ第6弾。前作でジグソウの後継者争いに終止符が打たれ、2代目ジグソウを襲名したかに見えた後継者だったが、その裏で前作では最後まで明かされることのなかった箱の中身と遺言の意味が明らかにされる。今作でジグソウの餌食となるのは、人間の生死を扱う保険ビジネスでのし上がったウィリアム・イーストンに他ならない。生前のジグソウとビジネス上で接触のあった男は、外科医ローレンス・ゴードンの執刀ミスにより末期ガンとなったジグソウを決して救おうとしない。「生きる者」と「死ぬ者」を選別する傲慢なサラリーマンは逆に、生前のジグソウの手引きにより、心底おぞましい「生きる者」と「死ぬ者」の選別ゲームに強制的に参加させられることになる。制限時間は60分、人質は妻と1人息子、これまでのシリーズの中で一番濃厚なゲーム性を感じさせる今作は残酷な描写はやや和らいだものの、彼に雇われたというだけで強制的にゲームに参加させられた人たちにはただただ同情を禁じ得ない 笑。それと共に今作では、再びジグソウの第一後継者候補と第二後継者候補の接点が露わになり、失格の烙印を押された第一後継者の秘密のベールが明かされる。前作のピーター・ストラムの意思を継ぐエリクソン、彼の相棒となるまさかの人物の登場には高ぶったが、やはり捜査側には何の権限もハッピー・エンドも有り得ない。旧トリロジー3部作の成功を顧みつつ、1年刻みでコンスタントに仕上げられた心底ウェル・メイドな新トリロジー完結編である。
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