みやぽっぷ

悲しみの忘れ方 DOCUMENTARY of 乃木坂46のみやぽっぷのネタバレレビュー・内容・結末

3.2

このレビューはネタバレを含みます

ドキュメンタリーと言っても「乃木坂46」のドキュメンタリーではないな〜というのが一番。グループ全体の物語をみたい人には向けられてないかな。
おそらくこれを観ても乃木坂がどんなグループなのか伝わりきらないし、その意味で期待していたものとは違ったな〜。

今まであった事実を羅列してこのときはこうだった、こう感じたが続いていくだけで、最終的にこのグループどういうところがいいのかってところがあんまり描かれてないと思う。キャプテンが途中で魅力を語るところがあったけど無理やりすぎ。そういうのを演出で感じたいのに、言葉で説明させてこれでよし感はどうにも…。

っていうのもたぶん、そもそも前提として箱の魅力を伝えることは意図してないんだろうな〜と思った。
二期生がまったく出てこないのとか(最後に堀ちゃんだして可能性を感じさせるような演出してるけど、そもそも物語の大筋に絡める気ないんだな〜と思っちゃったし)、アンダーライブとか乃木坂選抜の物語に対するカウンターとして乃木坂全体の物語を語るにはすごくおもしろい部分だったはずなのになんもなかった(もちろん全員映す時間がないのは把握してる)あたりとか。プリンシパルとかスキャンダルがどうとかのシーンとかより、よっぽど乃木坂全体の魅力伝わると思うんだけど。

最近の乃木坂の売り方みててもわかるけど、とりあえず一般受けを目指してて。この映画もその路線にあって、生駒ちゃんとかまいやんとかなーちゃんとかが困難な状況から強く変わっていくことの大事さとか母親の語りで親子の愛が語られるのとかすごく普遍的なテーマで、良い悪いというわけじゃなくわりと徹底してファン以外の普通の人にも受けるようにつくられてるから。

なので乃木坂46主要メンバーの個々のドキュメンタリーとして観るべきだと思うし、そうなるとまあまあ良い出来。
感動できるところも多い。伝えたい普遍的なテーマもよくわかる。

そういうふうにとりあえず主要メンバーに共感させて、アイドルって遠い存在じゃないですよ、身近なものですよ、乃木坂のメンバーのファンになってみませんか?って言ってきてる感がすごいんだけど。

まず、その売り込み方はもったいないな〜って思う。乃木坂には大きくなっていって欲しいのは当然なんだけど、その路線ではファン、少なくとも良質なファンは増えないと思う。

アイドルとはこういう特殊なものですよ、普通の女の子とは違いますよ、中でも乃木坂はこういうスタイルで他と違います、乃木坂メンバーのファンからではなくて乃木坂のファンから始めませんか?
って伝えるのがこういうドキュメンタリーの役割であると同時に、乃木坂全体の売り込んでいくやり方であるべきだと思うし、そのほうが絶対良いファンがつくし、簡単に離れない。

たとえば、駐車場めっちゃ広いけど品揃え悪くて高いスーパーマーケットと、アクセスしにくいけど品揃えが豊富で安いところだとどうなるかなみたいな話。最終的には後者が人気でると思うし。

ただもちろん、メンバー個別のドキュメンタリーとしてはその子の人生の今までみえなかった境遇がみえたり、乃木坂との関わり方とか、普遍的な考え方とか感じられたので、それぞれの子のファンとしては良い経験だったということはちゃんと言っておく。

この映画を一番楽しめるのは、取り上げられた主要メンバーの単推しクソ野郎かな(単推しクソ野郎とはどのグループ所属とか関係なくその子だけ芸能人として好き、みたいな人のことを指します)。各メンバーの推しでも、前提に箱推しがある人だとまず箱の魅力がわかりにくいことに対してちょっと不満を覚えるだろうから。

自分が感動したのは最終オーディション決定後にどんどん名前呼ばれていくシーン。ここは物語が始まっていく感がすごくて胸が圧迫される感じがした。
あとはライブのシーン。ライブって乃木坂全体の魅力を言葉じゃなくて感覚で伝えてくるものだから、当然とも言えるけど。乃木坂全体の魅力を感じようとしてみたからこそ、ライブのシーンが一番感動したかな〜。

って感じ。
みやぽっぷ

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