なんち

トレジャーハンター・クミコのなんちのネタバレレビュー・内容・結末

3.3

このレビューはネタバレを含みます

何のとは言わないがある種のリトマス試験紙として使える映画がある
これはその1つ

さすがにあんな状態で埋まってたVHSを再生できんので冒頭はイメージ映像だろう
クミコの脳内イメージで始まって脳内イメージで終わってるんだね

実際に起きた事件から生まれた都市伝説を元にした映画なので現実的でなさすぎる部分が多いが、都市伝説を無理矢理リアリティ持たせて映画化したのだから無理もない

海外監督の作品とは思えないくらい日本国内での描写に違和感がない
図書館の警備員がページを破る以外は

映画から覗けるクミコの生活を考えたらお金全然使ってなさそうなので貯金結構ありそうだけど
銀行正社員で何でそんな金ないんだってのが一番の謎

毒親とパワハラセクハラ、親しい友人もおらず孤独で日本にいる間は何もいいことがない
反面アメリカへ渡って以降は親切な人しか出てこない
残念ながらその親切さを受け入れられる余地がすでに残されていないので虚しく通り過ぎていくだけ

クミコは社会に適応できない妄執を抱く犯罪者ではあるけれど妄執の中にしか救いを見いだせず、それでも自分の力で未来を切り開こうとしているのは尊い

しかし結果救いは死にしかなかったという悲しいお話
雪の中から起き上がってから急に血色が良くなり毛布が服に加工されお察しポイントがちゃんと用意されている

人生の最後に幸せな夢を見るための冒険だったわけで社会不適合者の救われなさが描かれてしまったロードムービー

全体を通して映像が美しく、ラストシーンで一番高まる
このラストシーンのために全てがあり、これが撮りたかったんだと伝わってくるのが良い
ちゃんと撮り切ってる
なんち

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