Benito

トレジャーハンター・クミコのBenitoのレビュー・感想・評価

3.8
【 映画「ファーゴ」その先にあるもの 】

「ファーゴ」を映画館で観たその日にDVD所有してる事を思い出して初鑑賞。

お話は主人公クミコが映画「ファーゴ」を実話と信じてVHSを何度も巻き戻し見返してトレジャーの位置を確認し、刺繍までして地図を作りアメリカに渡っていくというもの。トレジャーとは「ファーゴ」のなかでの大事な小道具というか重要な要素である分厚いカバンに入った大金の事。

映画は日本人女性がノースダコタ州ファーゴ近くで凍死していた事件にインスパイアされたなかなか衝撃的なインディーズ作品。インスパイアされたのは亡くなった女性が映画に登場するトレジャーを本気で探していたという都市伝説化した部分。

映画の見せ場は実は前半で、日本の文化、風景を淡々と捉えているところ。孤立した都会のOL生活にメンタルをやられていく姿、29歳の日本女性が直面する煩わしさ、友達も作らず引きこもりる姿を観るのは辛いが、菊地凛子の演技力には圧倒される。後半のアメリカが舞台のシーンより刺さる。菊地凛子の出演していた「バベル」の世界観にも遠からず。そしてクミコを保護した保安官はデヴィッド・ゼルナー、彼がこの映画の製作・脚本・監督もしている。菊地凛子も製作にも関わっていてふたりの強い意志を感じる。
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