みむさん

ブラインド 視線のエロスのみむさんのレビュー・感想・評価

ブラインド 視線のエロス(2014年製作の映画)
4.0
なかなか面白かった。副題でだいぶ損していると思う。
ヨアキム・トリアー作品常連脚本家エスキル・フォクトの監督デビュー作、ノルウェー映画頻出名女優エレン・ドリト・ピーターセンの魅力が詰まったドラマ。

盲目の作家の想像力と創造力。自分が見えない世界で何が起こっているか、主人公イングリッドを投影しながら話を組み立てていく。
現実と想像上の話がミックスされシームレスに描かれる。

それに加え、ハンデを負って意図せずマイノリティと見なされ「マイノリティに気を遣う優しい夫」の本当の姿を心の目で俯瞰的に観察するようなドラマにも思えてくる。

イングリッドは夫は良くも悪くも人間らしい行動をとっていると感じ、自分は彼にとっては妻なのか要介護者なのか、盲目の母体から産まれる子供の将来は…など彼女の苦悩や悶々とした心情や想像が見えてくるよう。

一見ちょっとヤバそうな男もイングリッドの内面の一部が投影されてると思うとすんなり腑に落ちる。

現実逃避、疑似体験、自己発見、気まぐれで不安定なイングリッドの内面や性格や悩みを可視化しつつ、作家の創作創造のプロセスを独特な表現で描いた映画でもあったんじゃないか。

盲目は実際生活に支障が出てしまう「ハンデ」と言われるけど、それを「想像の世界を映す力」のように描いた(ように見えた)のも良かった。
ただ、ストーリーはスッキリ晴れ晴れではなく曇天がずっと続き少しずつ晴れるかどうか?という感じ。

色を判断するツール、あれ便利だね。