鍋レモン

ブラインド 視線のエロスの鍋レモンのレビュー・感想・評価

ブラインド 視線のエロス(2014年製作の映画)
4.4
⚪概要とあらすじ
失明した女性が危うい空想を抱いてゆく様を描いたノルウェー映画。

ノルウェーの首都オスロに暮らすイングリッドは、光を失って以来、アパートに引きこもる生活を続けていた。窓辺に座り、自らの周囲に様々な出来事が起こっていると思うようになった彼女は、勤務中のはずの夫モートンの視線を感じ、監視されているのでは?自らの背後で若い女性と逢引しているのでは?と考えるようになり、その妄想は次第に加速してゆく...。

⚪キャッチコピーとセリフ
“サンダンスをはじめ、ベルリンのほか世界中の映画祭で称賛の嵐!!”

「だが自分を見ろ」

⚪感想
目が見えないからこそ研ぎ澄まされる感覚を描いた不思議な作品。

これは単なるエロ作品ではなくめちゃくちゃ細かく作られた良作。

観てる私たちでさえ見えているものが現実なのか虚構なのか本当なのか嘘なのか分からなくなる。

映像の使い方が綺麗で、カフェでのシーンが電車になったりバスになったりぐるぐるしているのが好きな演出だった。

エロい場面というか、かなりハードめなポルノ動画が流れたりするので一人で静かに観るのが良し。

映像や演出、音楽が無機質だった。
無音の時も。

個人的に結構好きな映画だったから観てよかった。
最近また観たんだけどめちゃくちゃ過小評価してたので点数を上げた。
映画としては嫌いな人が多そうな気も。

登場人物する2人の女性の演技が良かった。どこか孤独そう。目の見えない演技のリアリティさが凄かった。

サブタイトルが最悪。
原題『blind』なのになんで邦題で『blind 視線のエロス』になるんだろうか。映画のジャケットと冒頭をサラッと観て決めたとしたか思えない。
多分副題のせいで観る人が減っている。
葛藤や苦悩を無視しエロスって言っちゃうのキモイな。

目が見えないゆえの痛い行動に胸がザクザク。辛い辛い。

言葉では伝えづらい作品。



⚪以下ネタバレ



主人公のイングリッドは目が見えない。それゆえ本作で語られる物語は恐らく彼女の想像の中だと思う。彼女が書いていた小説の可能性もあるけど。
夫の行動や向かいの女性などは彼女の想像でしかないし、向かいの女性の子供が男の子だったのに次に移る時には女の子になっていたり、夫がその女性とスーパーで出会ったり出会わなかったり、夫そのものが違う人になっていたり、夫だった二人が友人だったり、カフェで話していたはずの二人がバスにいたり電車に乗っていたり、天井の高さが変わったり、外の風景が変わったりなど。

彼女が小説を書いている時に突然現れた夫とのレコードのやり取りはドキドキハラハラ。

かなり支離滅裂なんだけど個人的に主人公の溜まったストレスのはけ口が小説でそのいくつかが描かれ、真実も混ざっていると思う。
妊娠は事実で、今までは妊娠できなかった苦しみを小説の登場人物達に当てていたけどそれが解消されたから小説の中の人物も最後は幸せになれたのかなと。

⚪鑑賞
GYAO!で鑑賞(字幕)。(2019/12/03)
GYAO!で鑑賞(字幕)。
鍋レモン

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