ずどこんちょ

暗くなるまで待ってのずどこんちょのレビュー・感想・評価

暗くなるまで待って(1967年製作の映画)
4.0
オードリー・ヘプバーン演じる盲目の女性スージーの自宅に現れた凶悪犯たち。彼らの狙いはひょんなことからこの家に隠されているはずの、とある大事な物を奪還することでした。果たして目の見えないスージーは、凶悪犯たちの危険から逃れることができるのか。
たった一つの部屋を舞台に繰り広げられる緊迫のワンシチュエーションサスペンスです。最高にハラハラしました。

視覚が効かないから、他の五感で恐怖を植え付けてきます。まったく違う人物なのに足音が同じであることに気付くとか、刑事に扮した凶悪犯が各所の指紋を拭き取っている物音に気付くとか、犯人が仕掛けた臭いからガソリンが撒かれたことに気付くとか。
犯人たちの監視を抜けながらスージーの唯一の協力者である少女グローリアが助けを求めに外へ出る時も、傘で鉄柵の音を立てて無事に抜け出したことを知らせる細かい演出。特段の説明がなくても、その意図がよく分かります。

極め付けは最後の対峙シーンです。スージーが犯人の正体が分かってからの音楽や演出がホラー映画のそれで不穏感がすごかったです。
特に、スージーが犯人の視覚を奪って優位に立つため照明を壊し始めてからは、私たちもスージーと同じ立場で恐怖を擬似体験します。真っ暗の中、犯人がどこにいるのかよく分からない。次にマッチをすって灯りをつけた瞬間に奴が飛びかかってきそうで恐ろしいです。

ずっと話題に出ていたあの家電も、グローリアがばら撒いた食器類も伏線回収ばっちり!!「ナイフ危ないよ」って声掛けてたもんなぁ。伏線の埋め込みもさりげなく、うまくゴールが決まり過ぎて驚きです。

で、何が面白いってこれがワンシチュエーションで繰り広げられるということです。
一つの部屋を舞台に事件が展開され、賢明なスージーの仕掛けた罠で犯人たちの正体に気付くこともでき、更に圧倒的不利なはずの犯人たちに立ち向かう術も見つけました。
それと共に部屋のあちこちに潜んでいたアイテムが、あらゆる形でストーリーに絡んできます。例えば、冒頭で犯人たちが険悪な対立をした時に、カメラと三脚を武器に、椅子を盾にしていた時からそれは始まっていました。
そのため、結末を迎えた時はまるでリアル脱出ゲームを終えたかのような快感です。

緊迫感があるのはもちろんですが、「そのアイテムをそうやって使うのか!」「あの時の会話はここに繋がっているのか!」といった驚きが沢山あって面白かったです。