映画「オードリーヘプバーン」公開記念レビューその…8?とりあえず10まで行ってみるよー。
オードリーの映画を観ていつもすごいなぁと思うのは時代の先取り感。この映画はちょっと変質的な犯人が出てきたり、アメリカ社会の影の部分がちらついたりと70年代サスペンスホラーの雰囲気が濃厚なのに、実は60年代の作品。
同年の「いつも2人で」や前年の「おしゃれ泥棒」もそうだし、そう言えば「ローマの休日」にしても、とても50年代とは思えない洗練さだった。
本作でのオードリーは全盲の女性を演じており、もはや可愛らしいお人形とはほど遠い、バリバリの演技派女優として覚醒している。しかもロマコメではなくれっきとしたサスペンスドラマ!
王女様でもお嬢様でもないので、「いつも2人で」同様、着てる服は普通に売ってる既製服。それがまたリアルで、ある意味そそられる笑。
いやらしい感じではないのだけれど、普通ぽさが逆にイイ、みたいな。
ジョージCスコットやロバートデュバルも候補だったという変質者の役はアランアーキン。なんと「リトルミスサンシャイン」の下ネタ爺さんとは気づいてなかった!
オードリーど同じくこちらもいたって普通な男。ところがこのいかにも変質者って感じではまったくないところがスティーブンキングにも絶賛されており、極めて普通な男が内に狂気を秘めているというのがサスペンスホラーとしての面白さを高めている。
音楽も前作に続きヘンリーマンシーニ。不協和音のリズムが印象的で、嫌でも不穏な雰囲気にさせられる。エンディングに流れるボーカル曲の余韻もgood。
ラスト30分は劇場に人を入れないとか、ラスト8分は完全消灯して喫煙も禁止とかの工夫で大ヒットしたという逸話が残っている。
そういや昔は入れ替え制がなかったから終わりかけに入って席を取ったり、通路にしゃがんで空くのを待ったりしたなぁ。
名画座では客席で吸ってる人いたし、今はスマホの光問題でよく炎上とかしてるけど、まあおおらかな時代だw
初期の007を支えたテレンスヤング監督は、ハリウッドの派手な演出は抑えてイギリス映画のような渋くてキレのあるスリラーを生み出した。それにしてもオードリーの演技は素晴らしいし、盲目での犯人との攻防の駆け引き、見せるアイデアもいろいろ面白い。
そんなわけで、これから観る方はぜひラスト30分はお部屋を真っ暗にしてみてください。もちろんスマホの電源はOFFで。