とり

暗くなるまで待ってのとりのネタバレレビュー・内容・結末

暗くなるまで待って(1967年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

オードリー・ヘップバーンが盲目の人妻役を熱演する、傑作サスペンス。
初めて観た時は、ほとんど一室内だけで展開される奇抜なストーリーに夢中になりました。
舞台劇の映画化ということで、その片鱗は随所に見て取れます。
原題・邦題ともにタイトルもとてもよくできていて好きです。

事故で失明してしまい一人立ちがいまいちできず、後ろ向きなオードリー演じる女性。
夫は愛する妻に、目が見えなくても強い女性になって欲しいと願っています。
それでも幸せな生活を送っていましたが、ある日夫が手違いで麻薬入り人形を持ち帰ってしまったことから悲劇が起こります。
一人留守番をするオードリーのもとに、次から次へと訪れる悪党たち。
盲目のか弱い女性一人では絶望的な展開ですが・・・。

盲目オードリーVS複数の悪党という図式から、ここまで面白い仕掛け、アイデアがあふれ出てくるとは思いませんでした。
1人では何もできなかったオードリーが、次第に強く成長していく姿がうかがえます。
目の焦点をぼやかせて盲目を演じたオードリー。とてもけなげで、芯の強い女性像を演じています。

悪党3人組もそれぞれ役割がわかりやすく色分けされていて、中でもアラン・アーキンの存在が大きい。
普段は紳士的で物静か、知的な雰囲気を漂わせてるんですが、キレたらこれほど恐い人はいないっていう人間像を見事に演じています。
撮影当時は周囲から、そんな控えめな悪役はいかがなものか、と不安がられたそうです。
時々出てくる小憎たらしいギャルもいい味を出しています。

終盤、画面がしばらくのあいだ真っ暗になるんですが、アメリカでの劇場公開時には場内の非常灯まで消えて、真の暗闇になったそうです。
音声だけが聞こえる場内の効果、ぜひとも体験してみたかったですね。
日本では防犯の関係で真っ暗闇にすることはできないそうです。
そしてこの暗闇の後に見えるのは何なのか、ぜひ実際に観て確かめてみて下さい。
今風に言うと「結末は誰にも言わないで下さい」っていうニュアンスですかね。
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