馬井太郎

暗くなるまで待っての馬井太郎のレビュー・感想・評価

暗くなるまで待って(1967年製作の映画)
4.0
1967年制作。日本人による女性初のマッターホルン北壁登頂、巨人軍優勝V9のうちの三分の一・V3(この時の対戦は阪急)などがあった年である。

妹から、面白いよ、と言われ、当時珍しいデパートの最上階にあった映画館で観た。既に人気最高のヘップバーンものは、実はこの時が初めてだった。食わず嫌いのへそ曲がりだったのである。
舞台劇の映画版だと、後になって知って、なるほど、室内シーンが多かったことに納得した。
座頭市は、アップのとき、瞼を閉じるか、白目をむいたが、ヘップバーンは、反対に終始眼を開いている(交通事故によるものだから?)。さらに面白いと思ったのは、衣装である。ヘップバーンは、きれいなワンピースなどを着て、ぎごちない動きがあっても、ちょっと見ただけでは盲目とわからない。対する悪役・アラン・アーキンは、黒メガネに黒の外套、盲目風情は、彼のほうが合っているように思えてくる(書きながら、うーん、そうでもないだろ?とも、ふと頭をよぎったが、訂正しない)。
出演多数のヘップバーンとは比較にならないアーキンは映画2作目、無名に近かったことが、未知の悪役恐怖を倍加させる。いまもなお、活躍する当年80歳?の俳優だ。
ラストシーンが、いい。ここでは、明かさない。サスペンス映画とは、こういうものだ。
公開からおよそ50年にもなろうとする今も、色褪せずに観る者をとりこにする魅力が衰えない。・・・テレンス・ヤングよ。