空きっ腹に酒

明日の世界の空きっ腹に酒のレビュー・感想・評価

明日の世界(2015年製作の映画)
5.0

ムーンショット計画がどうしても頭にチラついて、鳥肌が止まらないし、この世界が想像のものとは思えない、そう遠くない いつかの未来に、現実として成立してしまいそうで、怖さしか感じなかった。

記憶をそのままに、いれものはクローンで、永遠にわたしはわたしを生きる。それでいいのか??ってずっと考えてるんだよ。記憶や思考だけを取り出して、何か別のいれものにおさめて、その限られた空間の中を生きる。触れられるのは、記憶の中の世界とバーチャルな世界だけ、これでいいの???ずっと続く命や世界なんか恐怖でしかないよ、終わりのない世界でなんか生きたくないよ。人間らしく、生き物らしく、ただ生まれてきてただ死ぬだけ。の人生がいいんだよ。永遠の命を望んでどうするつもり???限りある中でこそ輝く瞬間があるんだよ。だからこそ、大事に生きようって思えるんだよ。大好きな子どもの頬にそっと触れながら、あたたかさとやわらかさとなめらかさを感じて心がほぐれて優しい気持ちになる、そんな小さな時間の大きな幸せに生きていたいんだよ。大好きなひとたちと、おいしいお酒飲んで、おいしいもの食べて、なんてことないこと話して笑ってたいの。気持ちいい音楽聴いて踊ってたいの。それでいいじゃん、充分すぎるでしょ。わたしは人生を生きたいの。ひととして生きたいの。ひとと生きたいの。クローンなあなたも寂しさを感じるでしょう、“そこ”に閉じ込められてしまったということへの絶望にも近いなにか、を感じて、それも確かに“生きる”ということなのかもしれないね、真っ暗な中彷徨う魂として。ならいっそのこと、死んで星となり美しく輝きたい。
はて、生きる。とは、なにかね??
空きっ腹に酒

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