Ryoma

追憶の森のRyomaのレビュー・感想・評価

追憶の森(2015年製作の映画)
4.4
生きていれば日々後悔や失敗の連続であり、償ったりやり直そうと思ったりしても手遅れで元には戻らないこともあって…それでも、尚生きていかなければならない現代社会の困難さを痛切に感じた。
どうしようもないくらいの絶望や喪失感に出逢ったとき、その苦しみや悲壮感はそれを経験した人にしか理解できないんだと改めて。それでも、誰かとほんの少しでも分かち合えたり理解し合えたら、たとえ少しだったとしても苦しみが和らいだり、希望を持てたりするものかもしれないなと感じた。
マシューマコノヒー、ナオミワッツ、渡辺謙さんの演技が秀逸すぎて凄い引き込まれたし、泣かされた。今ある時間、些細なことで笑い合え幸せを感じられる時間だけでなく、歪み合ったり喧嘩したりしてしまうような時間でさえも愛しいと思えるそんなメッセージが感じられた。同時に、大切な人がいなくなった世界で残された人が生き続けていくための力強いメッセージも感じた。
あらゆる後悔や失敗を肯定した上で、それらを経験した人をそっと後押ししてくれるような、ガスヴァンサントの柔和で老成した人柄が窺える素敵な作品だった◎
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