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我が道を往くのろのレビュー・感想・評価

我が道を往く(1944年製作の映画)
5.0


「我が道を往く」とは、他人の意見に耳を貸さないことじゃない。
正義を振りかざし他人を非難することでも、ある一面だけ見て判断することとも違う。
自分の道を貫くというのは、周りに流されないからできること。同時に、周りの人がいるからこそできることだ。
はたして、本当の意味で「我が道を往く」人はいるのだろうか。


“トウラルラルー”のメロディが響き渡る中、「THE END」の文字。
素晴らしいものを観た!
うれしくてうれしくて「今年一番の映画だ!」と言ったんです。
すると母が「ひろちゃん、映画一本観るたびに、今年一番って言ってるね」と笑いました。


財政難を抱える教会に若い神父オマリー(ビングクロスビー)がやってきた。
老神父と考え方の違いがありながらも、自分のやり方を信じるオマリー。
いちゃもんばかりつけてくる信心深い夫人や家出少女、貸し付けたお金を取り立てにやってくる親子。いろんな人の言葉に耳を傾けながら、着々と教会の立て直しを図ります。
そんなある日、教会が全焼してしまい…。


とっても人間らしい老神父フィッツギボンさん。
引退を仄めかされて傷ついて、フィッツギボンさん、出て行ってしまいます。
大雨の夜、オマリーと女中さんが寝ずに待っていると、「行き先が決まるまで置いてくれ」と肩をすぼめて帰ってきました。
「何か食べた方がいいのでは」と心配する二人を突っぱねるフィッツギボンさん。
しかしオマリーが「今日の夕食はローストビーフにプリン、食後のコーヒーもありますよ」と言うと…。
女中さんがとても嬉しそうに階段を下りていく。
ああ、なんて温かいんだろう。


町で盗みを働く不良少年たち。
オマリーは彼らに歩み寄り、合唱団まで作ってしまう。
でもそこに堅苦しさは一切ないんです。
神父様なのに野球帽にスタジャン姿で登場!讃美歌ではなくみんなが知っている歌からはじめます。
「みんなで合わせれば和音になるぞ。じゃあみんな深呼吸して」
せーので声を出すと、とてもきれいなハーモニーになった。
子どもたちが目を輝かせ、嬉しそうにうなずき顔を見合わせる。
端から端の子どもたちまでずーっとカメラで映すんですね。
このしあわせなこと。自然と涙が溢れました。



優しいやさしい映画、人のあたたかさに触れました。










※コメント欄 自主閉鎖中m(__)m
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