脳内金魚

キル・ザ・メッセンジャー(原題)の脳内金魚のネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

もちろん、ジェレミー・レナー目当て。

長いこと日本では、配信はおろかDVDにもならず、英語分からないのに北米版DVDを買った作品。(と言うか、特に初期のジェレミー作品はそんなのばっかり/笑)
さすがに、内容が内容だけに理解は難しく、そんな中アマプラで「現在この地域では視聴できません」の表記とともに作品ページが出来てるではないか!これは近いうちに配信ある!?と待っていたら、満を持して配信来ましたね!普段は文句ばかりだけど、ありがとうAmazon!

閑話休題

実在の新聞記者と事件を題材にしたもの。ゲイリー・ウェッブの最期は自殺とされているが、頭部に二発も銃弾を撃ち込めるかと言う点から、他殺説も真しやかに流れていることは調べた。

NHKの『新映像の世紀』でCIA創設を取り上げたものがあるが、そこでもやはり、行き過ぎた特権や他国への干渉が取り上げられていた。そこには普遍的な正義はなく、米国の利益が第一であり、干渉した地域や国、ましてそこに住まう人々のその後に関しての責任は一切取っていないことが指摘されていた。

今作で取り上げられた事件も同様である。そして本来であれば、他社も追随して、国家やCIAの責任を追求すべき立場であった。それがジャーナリズムのあるべき姿であり、国民の知る権利でもあった。だが、小さな地方紙の記者に出し抜かれた大手新聞社は、真相を追求するでもなく、記事の捏造どころか、ウェッブの人格攻撃を始める。さらに、国家権力からの圧力。終いには、仲間から梯子を外されてしまう。その絶望や如何に。

もちろん、ウェッブにも記者としての功名心がなかったとは言えないだろう。けれど、家族がバラバラになったかもしれない中、真実を追い求めた姿こそ、真のジャーナリズムであろう。日本だけでなく、他の国々でもたくさんの「忖度」がなされている。そんな中、真のジャーナリズムとは、そして倫理なき他国への干渉がもたらす害悪が描かれる今作は、今だからこそ見てほしい作品だ。

内容もさることながら、ジェレミー・レナーの演技もいい。段々と追い詰められ、ジャーナリズムの倫理と家族の安全を天秤にかけ葛藤する演技はさすが。結局、現実は映画のように『最後は正義が勝つ』とはならず、報われるでもない。でも、授賞式での敗北感に打ちのめされても、ほの暗い瞳の奥にある情熱を秘めた演技は最高だ。

何一つ救いも光明もない、重い作品だが一見の価値はある。

それにしても、『アメリカン・ハッスル』といい、長髪や口ひげジェレミーは慣れませんwww
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