てれ

ムンバイ・ダイアリーズのてれのレビュー・感想・評価

ムンバイ・ダイアリーズ(2010年製作の映画)
4.0
演出にフランス映画っぽさを感じた(良い意味です)

人付き合いが苦手な画家、置き去りにされたビデオテープに映っていたもの、洗濯職人の青年のかなわない恋…儚いと思う一方、余韻がたなびく雲のようにうっすらと残る。

アーミル・カーンが人付き合いが苦手な画家役でさほど喋らないという役どころなのが初めて見るタイプだった。引っ越し先の家に置き去りにされていたビデオテープを見つけ興味本位で観てみると、そこに映っていたのはムンバイの風景とヤスミン・ヌールというたおやかなムスリムの女性。彼女に淡い想いを抱き、彼女をもとに絵画を描こうとインスパイアされる姿は静かなのに生き生きとしており、そこのアーミルの繊細な表情の演技が素晴らしかった。台詞が少ないからこそ表情を魅せる上手さがとても引き立っていた。
個人的には洗濯職人の青年ムンナの恋模様がとても好きだった。ソフィスティケイトな女性に心を躍らせる様子が素朴な可愛らしさ。そして少し怯えたような瞳。彼演じるプラティーク・バッバルは初めて知ったが魅せる演技が上手くて良い俳優さんだと思った。

なんとなく予想していたけど影のある展開。嗚呼どうして人間って残酷で優しいんだろうな、と観終わったあとに思った。それでいて、その絶望感と感傷がけっこう好き。
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