shiho

太陽のshihoのレビュー・感想・評価

太陽(2016年製作の映画)
2.8
ウィルスで人類の大半が死に、残った抗体を持つ新人類(ノクス)と、持たない旧人類(キュリオ)に分かれている世界。

【キュリオ:旧人類】
ノクスによって移住区を管理されており、ノクスのいる近未来都市には入れない。ウィルスに感染すると高確率で死ぬ。
まともな経済社会があるとは言えず、社会を回しているノクスからの補助なしには文化的な生活が送れない。
教育水準も低いので特に男衆は野蛮で血気盛んな古き田舎のイヤな感じ。

【ノクス:新人類】
知能が高く高度な文明の元暮らしている。ウィルスへの抗体を持ち、体も強いらしい。ただし太陽の光を浴びると体が燃えて煙を出して死ぬ!(ここ重要)

主人公達、テツヒコ(神木隆之介)とユウ(門脇麦)の住むキュリオの村は、
10年前にテツヒコの叔父がノクスの駐在員を殺したことから経済制裁を受けて、自給自足の貧しい生活を送っていますが、やっと10年経ち制裁が解かれ、止められていた20歳までの子供にキュリオになれる手術を受けられる抽選も再開されます。

うぅん、神木君が出てるSFもの!ってウキウキで観たっけ非常に暗く陰鬱とした内容でなおかつ暴力描写もあるのでそこそこHP削られてうあーーーやめてーーー!!ってなったし鑑賞後はズーーンってなりました(言葉が不自由)。ジャケットから推察するにイケイケ新人類神木くんとピュア旧人類麦ちゃんの邂逅を描いているのかと勝手に思ってたら、2人共旧人類でスタートから生きづら過ぎるステージだった。

「私が殺人犯です」の監督か〜あれ合わなかったからどうかな〜って不安を抱きながらの鑑賞だったけど、予感的中。
遠目の長回しが多く、画全体がアートちっくな印象を受けましたが良いシーンもあったけど退屈、というか画の圧力が強くてずっとだと疲れた。

そのくせやたらと!音がでかい!!
というのが特徴でして、特にノクス関連のシーンで流れるモルダウは鬱陶しく悪趣味。使い方古くさっ!!
モルダウ好きなのにやめてほしい。ウンザリ。まぁそれを狙ってるのかもしれませんが…。
私の感性には合いませんでした。
あとこれ「散歩する侵略者」と同じ劇団イキウメの劇が元なのね。
どっちも設定は好きだけど展開があんまり好きじゃない。調べておけば良かった。

キュリオからノクスになった人は、
「すごくサッパリした!生まれ変わったような気分!何を今まで悩んでたんだろ☆」ってまるで別人みたいになっちゃうんだけど、ノクスは人造人間みたいで常に理性的で感情の抑揚に乏しくて、明確に話すのも含めてまぁ薄気味悪くて怖いの。ノクスになった時に色々無くしちゃったんですねって具合に。

この社会じゃキュリオに未来はなさそうだし、キュリオの村苦しすぎかよ…って感じなんだけど、それでもキュリオは人間らしさを持ってるの。執着とか怒りとか、負の感情かもしれないけど。
例えば平和な環境で育ちすぎて「生きてる実感湧かないな〜」って人が死にそうな目にあったり、サバイバル生活してみたりしたら嫌でも「あぁ自分は生きてる。生きたい。」って感じるでしょ。何が言いたいかというと、極端に言うと生きるって苦しいと同義みたいな感覚があるんだけど、それをはしょっちゃったらそれはもう別物なんじゃないのかね…と、思ったの。
でもキュリオの暮らしはやだね〜〜笑

役者さんは、神木くん演じるテツヒコはひたすら煩くて大事な時もテンパり過ぎて喚くばかりで(そういう役どころなんだろうけど)イライラしました笑

門脇麦ちゃんはお初でしたが純朴な雰囲気でなおかつ存在感があって大変よろしい。
そして今回の1番の収穫はキュリオ側の常駐員森繁を演じた古川雄輝さんでした!綾野剛を童顔にして甘さを足して縦に伸ばしたみたいな感じです笑!
日本はどこにこんなハイスペックイケメンを隠してたんだ…!と思ったら私が知らなかっただけですね笑
この人の声が良かったです。
あ、麦ちゃんも声良かった。

あとそうだな、なんかノクス側の説明が少なかったのとマスに焦点置きすぎてちょっと全体の世界観を作りきれてなかったようにも思います。年齢制限の意味ってあるの?全員ノクスにしちゃえばいいじゃん。それだと溢れるからダメなのかな?それともノクスが子出来づらいから子産み要員でキュリオ残してんのかな?
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