黄金のアデーレには勿論、その絵を取り巻く人々とエピソードにも、こんなに魅力があるなんて。芸術的な家族のもと、服の小売店を経営する上品なマリア。アメリカで育ちオーストリアを訪れて自身のルーツに目が覚め、絵画返還請求について政府と戦うランディ。尊敬する父がナチであったことの罪を償おうとするオーストリア人のフーベルトゥス。
そして最後に家族を残して母国を離れさせるなんて人間を壊してしまう戦争は、今後一切あっていけないと決意させる。オーストリアの全てを心の隅に置いて思い出さないマリアの痛々しい思いがよくわかって泣きそうになる。
この映画のような作品がまだ10万点もある。