実話の重みが伝わる秀作。
戦中、ナチスのユダヤ人迫害から逃れ、オーストリアからアメリカへ亡命した、老婦人マリア。
彼女が突然、祖国相手に裁判を起こす。
それはかつてナチスに強奪された、クリムトの名画「黄金のアデーレ」の返還。
回想シーンを交えながらのドラマ展開が胸に迫る。
大好きだった叔母アデーレや、愛する家族との想い出。
マリアが夫と共に国外に脱出する場面は、緊張感に溢れている。
そしてナチスに心酔し、洗脳された人々の姿が哀しい。
また、物語は彼女の弁護を請け負ったランディのルーツへの認識と、弁護士としての成長の記録でもある。
彼が逆境にも臆することなく、堂々と相手と渡り合うシーンに泣いた。
ラストシーンが美しく、感慨深い。
☆回収された宝飾品が、ナチス幹部夫人の元に渡るエピソード。
映画「暗い日曜日」でも見られました。
事実なら、何ともやりきれない話ですね…。