Soseki

黄金のアデーレ 名画の帰還のSosekiのレビュー・感想・評価

3.4
事前情報は予告編の記憶ぐらいで、爽快な絵画奪還劇かと思って視聴したが、ちょっと違った。
ナチスとユダヤ人と戦後処理の問題のど真ん中のお話。実話ベース。

「クリムト エゴン・シーレとウィーン黄金時代 」でも思ったが、ウィーン世紀末美術には、アーティストとしてもパトロンとしてもユダヤ人が多く関わっている。
それなのに、ナチの台頭とともにユダヤ人は国を追われ(さもなくば収容所送り)、美術品は収奪された。そして、オーストリア人はナチと一緒になって彼らを追い出しており、無罪ではない。

この状況で、いくらクリムトの絵は国の宝と言われても、大切な叔母の肖像画を取り返したいのは当然。そして、時間はかかったがオーストリアが国として責任を認め、返還されたのは良かったと思う。が、どこかほろ苦い結末。
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