チェス、奇跡の一手…!
ではなく、アメリカvsソ連の静かなる戦争。私にはたまらん題材でした。
もちろん私は生まれてないし、ボビー・フィッシャーの存在も知らなかったし、それどころかチェスのルールも知りません(引き分けなんてあるのかよ!ってこの映画見て思いました)。でもグイグイ引き込まれたなぁ。トビーのなりきりっぷりが素晴らしいです。
当時のメディアからは「大口を叩いてはルールに口を出すただのワガママ」とも捉えられかねないボビーの傍若無人ぷりが、きちんと由緒ある振る舞いに見える演技。
チェスという戦争に長く身を置き、幼い頃の記憶から何から影響を受けて徐々に精神を破綻させていく彼を見ていて「ワガママ」なんて思えない。
でもそれは、こうして映画として彼の内面を垣間見ているからこそ。現在におけるボビー・フィッシャーの名声はどのようなものか知らないけど、歴史に残る戦いをしたのは事実。すごい!
そんな彼のことを知る映画としてはなかなか良作だと思います。
ただ少し中途半端な印象もあり。上記の通りトビーの怪演もあって、彼がだんだん何かに蝕まれていく様はとても説得力があったので、映画としての終わらせ方が物足りなかった〜。晩年の彼の行いも、脚色次第では面白いものになったんじゃないかなぁともったいなさもあったり。
でもトビー演じるボビーが全てだと思えばこれで良かったのかも…