NinaSinnerman

ラスト・フェイスのNinaSinnermanのレビュー・感想・評価

ラスト・フェイス(2016年製作の映画)
3.2
構成や撮り方に難は感じるけれど、ハビエル・バルデムの演技が素晴らしく、ショーン・ペンの妙なジャーナリズム精神をなんとか形にしてくれている。

ショッキングなシーンは多い。
アフリカ内戦地帯の報道に普段興味を持つことのない人には尚更だと思う。
この映画の中で描かれている悪夢みたいなことは全て実際に起きていて、現地で珍しいことは一つもない。
直接的な描写の羅列に安穏な世界に暮らす人々にこの事実をもっと伝えたい、知ってほしい、という気概を感じる。

ただ、そこにラブストーリーを混ぜ込むことや時系列をいじくること、時折挟まれる妙に浅いフォーカスが果たして功を奏したか、というとなんとも微妙。
のっけからなんともセンスのない修飾文で始まり、変なフォーカスに逆に気が散らされ、ロケーションとシャーリーズの髪の長さだけで時系列を判断しなければならない。
シリアスにいくのかと思いきやルベツキでも意識したのかと思うような感傷的で美術的な撮り方まで挟まり、そんな画にのっけるのがレッチリ...?と構成や演出はテーマや表面の感触に反してかなりとっちらかった印象。

バルデムの演技、描くテーマ、撮影技術、一つ一つは価値があるのにショーン・ペン監督作っていっつも観づらくて残念。
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