リーアム兄さん

教授のおかしな妄想殺人のリーアム兄さんのレビュー・感想・評価

教授のおかしな妄想殺人(2015年製作の映画)
3.7
【好きなセリフ】
エイブ「直感を信じろ。知性は万能じゃない。直感こそ正解だ。」

人生に価値を見出せない教授が殺人を通じて生きる活力を見出していく。

ストーリーとナレーションの配分が心地よく、また、挿入でポップなジャズが流れることでテンポよくストーリーが進んでいく。
哲学の教授らしくスマートで冷静なエイブ(ホアキン・フェニックス)とそのミステリーさに惹かれていく学生のジル(エマ・ストーン)の語りがかつての心境を語ることにより、一種の自叙伝や告白文書のように見ることができる。

自分の生きる価値とはなにか、生きる上で糧となるものはなんなのか。
エイブもジルも2人の時間を共有したにもかかわらず、共通の認識を持つことができなかった。

それこそがまさに「人間は考える葦」なんじゃないだろうか。

エマ・ストーン演じる美女がホアキン演じる小太りおじさんに惹かれていくのはなぜか。
人間はどこかで自分には持っていない、相反する思考を持つ人を求めているのかもしれない。

内容としては重いはずなのに、構成や音楽、そして最後のエレベーターのシーンのようにすべてがシンプルというかあっさりしているので、見るのが簡単だった。