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インフェルノのTSのレビュー・感想・評価

インフェルノ(2016年製作の映画)
3.9
【三作目だが予習不要】
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監督:ロン・ハワード
製作国:アメリカ/トルコ/ハンガリー/日本
ジャンル:サスペンス
収録時間:121分
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前作『天使と悪魔』から7年経過しましたが、予習は全く不要。関連性もほとんどなく今作から見ても楽しめるミステリー作品となっています。原作は未読ですが、これもオチを知らない方が楽しめるのかもしれません。

生物科学者のゾブリストは殺人ウィルスを生み出す。人類は増加しすぎた。このウイルスを放つことにより人類の半分は死滅するが、放たないと人類は100年で絶滅してしまう。。果たして。。

インフェルノとは中世の詩人ダンテの『神曲』の「地獄篇」を指す言葉です。前作から引き継がれている主なキャストはラングドン教授演じるトム・ハンクスのみであり、彼が謎解きを得意とする教授というイメージさえ持っておけば前作の鑑賞は不要です。もっとも、前作『天使と悪魔』はうろ覚えですが中々面白いので見る価値はあると思いますが、今作も負けじと中々面白かったです。

さて、今作は中世ヨーロッパの黒死病をヒントに、人類は増え続けるべきかという難しい問いを放ちます。確かに地球にとって人類は癌細胞のようなもの。増え続けることに人類の幸福はあるのか?ゾブリストやその信者はどう見ても過激派と言えます。少ない命を救うには、大量の犠牲を厭わないという考え方です。確かに昨今の人類の増加は尋常じゃないスピードで進んでおり、地球規模で考えるべき深刻な問題でしょう。
しかし、ゾブリストが考えるように、人が人をウイルスで殺すというのは道徳的にどうなのか?どれだけ論拠を述べてもやはり過激的と言わざるを得ません。そのウイルスを放つのを阻止するべくラングドン教授は立ち上がります。

とは言ってもある理由で今回ラングドン教授は記憶を失いますので、鑑賞者も白紙のまま物語を追っていかなければなりません。隠されたメッセージがあり、それをどんどん追究していくという典型的なミステリーものですが、そのロケーションが素晴らしいのでそのあたりには不満が出ません。フィレンツェをはじめ、ヴェネツィア、イスタンブールと世界的に有名な都市が登場します。前作、一作目程のミステリアスな場所はありませんでしたが、十分ワクワクさせられました。

トムハンクスにアクションを求めるのはナンセンスですが、やはりアクションの少なさは今シリーズの欠点とも言えます。しかしそれを補うかの如くにミステリアスな展開なので塩梅といったところでしょう。個人的には前半の方が面白く感じ、後半はペースが少し落ちた気がしました。結局のところ、ウイルスは放たれるべきなのか?

人類存続という大きな問いを掲げていたので考えさせられる度としてはシリーズナンバーワン。しかし、個人的には前作の方が若干上かなと感じました。言えることは、前二作が肌に合わなかった人からするとやや退屈かもしれません。それにしても、制作国に日本が入ってるのが謎ですね。どうせならイタリアが制作国に入っていると思えましたが。。
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