のぶ

怪物はささやくののぶのレビュー・感想・評価

怪物はささやく(2016年製作の映画)
4.7
末期の母と少年と怪物の物語。

少年は受け入れたくなかった、母が死ぬことを。現実からただ逃げていた。

怪物は少年に語りかける。3つの物語を話そう、その次は君が語る番だと。

物語1。国民から愛された人殺しの王子の話。何が真実なのか。
物語2。牧師と調合師の話してみたいです。何を信じ誰を信じるかよく見極めろ。
物語3。皆から無視されて耐えられなくなった少年の話。暴れ、周りの注目を集め、そしてより孤独を深める。

少年は最後に話した。
母の死を受け入れられず、だけど本当はその恐怖から逃れたかったことを。救いたい気持ち、逃れたい気持ちどちらも真実でだったとようやく受け入れられたのである。


目を覆いたくなるような現実をなんとかしたい、なんとかなると信じたいと思う一方で、逃れたいと思う心もまた、あっていいのだと思う。
作中で少年はその逃れたい心を認めたくなくて、でも自分ではわかっているからこそ、罰を受けたいという描写がされていた。
どっちの気持ちも真実だと認められた時、人は成長できるのだなと思った。

少年、お母さん、おばあちゃんの成長をずっと見守ってきた木の怪物にも親近感を覚えた。

他人の気持ちに寄り添うのと同様に、自分の本当の気持ちに寄り添ってあげることも大切なんだなって思わされました。
そして、死は避けられないものだからこそ、愛する人との時間は、大切にしていきたいなって思いました。
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