のふのふ

怪物はささやくののふのふのレビュー・感想・評価

怪物はささやく(2016年製作の映画)
4.5
〝お前が隠している真実はお前の悪夢だ〟

大人と子供の狭間でもがく少年の話。
グッシャグシャに泣いてしまいました|ω・`)
「パンズラビリンスの〜」という広告で重いダークファンタジーのつもりで鑑賞したのですが、暗い話ではなく温かい家族愛にやられた...



裏窓から教会の墓地が見える家で難病の母と暮らしている少年コナー。ある晩、彼の前に怪物が現われ、これから3つの「真実の物語」を語ること、そして4つ目の物語をコナー自身が語るよう告げる。しかもその内容は、コナーが隠している「真実」でなければならないという。嫌がるコナーをよそに、怪物は夜ごと現われては物語を語りはじめる...。





〝3つの物語を話し終わったらお前が4つ目を話す〟
そう言って怪物はコナー君に物語を話していきます
「王子と王妃」、「調合師と牧師」...

しかしどのお話にも、
正義も悪もない...。
世の中の不条理がコナーに突きつけられます。
納得いかないコナーは怪物にこう言う、
〝君の話は矛盾だらけだ〟



でも世の中そんなもの。

祖母の厳しさと愛情、
父の優しさと弱さ
そして、母に対してのコナーの本当の気持ち。
その矛盾に苦しんでいた彼が怪物の物語で.
世の中の不条理を受け入れることを知り、
大人になっていく...



子役くんの素晴らしい演技も相まって
顔面グシャグシャです


本当にコナー役のルイスマクドゥーガル君は魅力バリバリでしたね!
暴力を振るっても、物を壊しても、
周りが気を使ってしまうばかりに透明人間になってしまったような孤独感。
それが故にあの3つ目の物語がグサリとくる。
そして何度も出てくる〝罰はなし?〟と悲しげな表情がまた(´・д・)...



脇を固めるベテラン俳優たちもよかったですね!
祖母役のシガニーウィーバーは、エイリアンシリーズと宇宙人ポールくらいしか印象になかったんですが、すっかりファンになってしまいました。
終盤のコナーとのやりとりは、今作でも大好きなシーンの1つです!
電車が来るタイミングも最高っす!


そして、怪物役のリーアムニーソン!
最近の出演作はだいたい八の字眉で仔犬のような困り顔といったイメージですが、
今作ではあまり困っていません!!
一瞬写真でリーアムニーソンさん本人がチラッとでてくるのですが、笑顔でした!!
とても安心しました!!




あとビジュアル面ですよね〜!
怪物の話す物語は、水彩画風のアニメーションで進むのですが
すごくいいっ!むちゃくちゃいいっ!
怪物が物語をコナーに最初に語りはじめるシーンでは、いきなり始まるのではなく
〝想像力を使うんだ〟とだんだん壮大になっていくのはワクワクした!


現実世界でのちょっと冷めた感じの画作りも個人的にはツボです!
コナーを磨りガラス越しで映したショットとかもなんだか物語の中の絵みたいで素敵。



怪物のビジュアルも好きでした!
ぱっと見グルートなんですけど、瞳が綺麗!





そして、劇中の音もすごい印象的でしたね!
怪物が動く時の木が軋むような音。
建物が崩れ落ちる音。
時計の針の音。

お気に入りは、紙の上を鉛筆が走る音。
これは是非是非ヘッドフォンで!!





以上、「怪物はささやく」!
誰しもが経験する子供と大人の狭間の時期。
温かい余韻の残る素敵な映画でした(´▽`)
かなりオススメです!
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