プペ

怪物はささやくのプペのレビュー・感想・評価

怪物はささやく(2016年製作の映画)
3.1
己ではどうしようもないことに遭遇した時、人は拒絶し、葛藤し、やがてそれを受け入れてゆく。


難病に冒され日増しに衰弱していく母
離婚して新しい家族を持つ父
反りの合わない祖母
同情とからかいの対象でしか自分を見ないクラスメート
毎夜見るとてつもない悪夢
そんな境遇に日々息苦しさを募らせる少年

感動とは違ったもっと苦い突き刺す作品でありながらも心を揺さぶられる物語で、とても、とても良かった。


やがて訪れるであろう「悲しみ」「喪失」「孤独」といったものに対する「不安」や「恐怖」。
逃げ出したいが対峙しなければならない「現実」。
少年のそんな思いが″怪物″の姿となって現れる。

怪物が少年に聞かせる三つの物語は、大人の鑑賞者にはとても興味深いが、子供にとってはきっと少年のように理不尽さを感じるだろう。
そこから真実を見つけ出すとき、第四の物語が語られる。
それは悲しみや苦しみを乗り越えた先の癒しになるに違いない。

少年はいったい何を話すのか。
不意を突かれ、あっという間に闇に引き込まれる。
これは紛れもない「心の解放」にまつわる映画である。
それはこの上なく美しく、とてもとてもつらくて痛い。
プペ

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